ドドンパ・ダンスの踊り方


『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』

に続く輪島裕介さんの新著、

『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』を読んだ。

 

 

 

 

踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書 454)

踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書 454)

 

 

 

 

 

『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』の大衆的感想

演奏ないしは音源に耳を傾けて拝聴する「鑑賞音楽」と

聴衆も参加する娯楽的な「大衆音楽」。

言い換えれば、「踊る音楽」と「踊ってはいけない音楽」。この二つに音楽は大別される。

この二項対立に焦点を当てると浮かびあがってくる日本の音楽史・・・・

 

難しく考えてしまうと疲れてしまうのですごくざっくり言うと

日本に連綿と息づく「陽気に踊る大衆音楽シーン」が今まで殆ど論じられてこなかったから

ちゃんと掘り起こすよ!

という本です。

 

昭和50年代生まれの自分には知らない音楽シーンが沢山ありました。

特に、1950~60年代にかけて起きたニューリズム運動の目まぐるしさには驚きます。

マンボ・カリプソ・チャチャチャ・ドドンパ・ジャジャンボ・パチャンガ・スクスク・タムレ・・・・

羅列するだけでウキウキしてきます。

 

当時の記事で盛んに叫ばれる

「もう○○○は古い!次のニューリズムはこれだ!」

という煽りに、ニューリズムブームの熱狂を感じました。

 

あと、団塊世代を指して

「自称ビートルズ世代は実は橋幸夫世代だ」と言われる事がある、という話も面白かったです。

それだけ橋幸夫がリズム歌謡の担い手になっていた、

つまり大衆を「踊らせて」いたんだ!

 

「口伝ドドンパ」はどこに眠る?

今週末、輪島さんの出版記念パーティーで

本書でも特に言及されていた「ドドンパ」を踊りたいと思い、

ネットを漁ったものの、なかなか出てこない。

 

ドドンパのリズムはワン・ツー・スリー・フォーの拍の中で

ツーに「パッ!」と強いアクセントを入れるのが特徴で

踊りも同様にツーで足をつっかけ、体を沈めるらしい。

 

しかし、どんなニュアンスで体を沈めるのか?

また、スリー・フォー・ワンの間はどんなステップを踏んでいるのか?

それが分からない。

ドドンパの生みの親とされているアイ・ジョージの自伝によると、初めてドドンパのダンスが披露された際

「なんや、けったいなダンスやな、びっこの踊りやないか」

と口々に騒がれたそうです。

 

「びっこを引くような踊り」ということは

・あまり足を地面から浮かさないステップである

・おそらくツーステップ(同じ方向へ二歩進む)のような足運びをしている

であると思われます。

 

、なんて分析した所で、大衆歌謡は楽しく踊らにゃソンソン。出鱈目で踊るのも一興!

とも思うのですが

史実を詳細に紐解いた本の出版パーティーに出鱈目を踊るのはそぐわない気もするし・・・・。

悩みどころです。

 

ドドンパの代表作「東京ドドンパ娘」を様々な歌手が歌っている動画はたくさん出てきます。

しかし、バックダンサーの激しいダンスは映るものの、実際に大衆が踊っていたであろうイージーなドドンパダンスは見受けられず。

その中に、には美空ひばりのデビュー35周年記念コンサートで「ひばりのドドンパ」を歌う動画がYouTubeに上がっていました。


美空ひばり 芸能生活35周年記念リサイタル・武道館ライブ – YouTube

イントロ部分で美空ひばりがツーにアクセントを置いたステップを踏んでいて、これが当時のドドンパダンスに近いのかな、と思ったり。

 

一番有力だったダンスは、熊本のチャリティショーで地元のスナックのママさんがハワイアン仕立てのバックダンサー二人を従えて「東京ドドンパ娘」を熱唱する動画。


東京ドドンパ娘を歌うママさん – YouTube

フルコーラスを通してかなりこなれたダンスを見せてくれています。

ワンに足を踏み込んでいたり、途中でスリーにアクセントが変わったりしている所は怪しいのですが

演者がスナックのママという所が信憑性が高いというか説得力があるというか。

特に昭和の、大衆歌謡を支えてきたのはスナックですもんね。

熊本のママさんの踊りはかなり史実に近い振付なのでは無いかと思いました。

 

 

それでももやもやする。

日本を席捲したはずのドドンパ。その踊りの記憶を根絶やしにしてはいけないのではないか?

大してドドンパを知りもしないのに変な義憤にかられる私。

 

熊本のスナックのママがかなり慣れた風情で「東京ドドンパ娘」を踊っていた所からヒントを得て

「東京ドドンパ娘 振り付け」で検索してみた。

世の中には酔狂な人が「東京ドドンパ娘」の振りコピ情報を克明に記録しているかもしれない。

 

当然そんな酔狂なサイトは見つからなかったのですが、

演歌歌手の桜井くみ子さんのブログにこんな記述がありました。

東京ドドンパ娘♪を歌わせていただきました(^O^)

リハーサルの時、花柳糸之師匠からステップと振り付けを教えていただき、猛練習p(^_^)q

出番前もずっと励まして下さって、とっても嬉しかったです(^ ^)

何とか転ばずに…(笑)ホッとしました(#^.^#)

 


NHK歌謡コンサート☆ – 桜井くみ子オフィシャルブログ くみ子日記 – Yahoo!ブログ

 

やはり、連綿と受け継がれている「東京ドドンパ娘」の振り付けが存在するようです。

 桜井くみ子さんは花柳糸之師匠の口伝により教わったもよう。

 

 

ダンスは形を残さない表現形式。

撮影技術の進んでいない時代や地域のダンスは、どんなに一時代を築いたとしても

風化するか変質するかの運命を負っているんだと改めて感じました。

 

花柳糸之師匠に私も教えて欲しいものです。

そしたらYouTubeにアップするのに!


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