先日、国分寺のお宅で飲んでいたら友達がおもしろい話をしていた。
若い時分、無性に枝豆だか空豆だかを食べたくなって腹いっぱい食べて
その後豆を食べ過ぎた自分が怖くなっておもむろに腹筋を始めたらしい。
普段ろくに運動をしていなかった友達は腹筋運動で気持ちが悪くなって吐いた。
口から出て来たそれはとっても“ずんだ”だったそうだ。
東北出身の友人の話。
そんな話でゲラゲラと笑う食卓の足元をネコが駆け回っている。
トイレをしたいのだろう。
私の昔飼っていたネコもそうだった。
聞いた話によるとネコは排便の直前に野生の本能がはたらいて全速力で走る習性があるらしい。
トイレ中に敵に襲われたら身動きが取れないから、できるだけ遠くへ逃げたくなるのだろうか。
それは理に適っているけど、あのニャンコっこ達にそんな拉麵男みたいなハードボイルドな習性があるとはなかなか想像しづらい。
ーいつ襲われてもいいように立ったまま眠る拉麵男ー
(ゆでたまご「闘将!!拉麵男」第五巻より・集英社)
豆食べてわけもわからず腹筋したくなっちゃった運動嫌いの友人と
トイレのたびに野生の本能がはたらいて走り回っちゃうネコはどこか似ている。
昔、インターネットの映画レビューサイトで
「雨に唄えば」の感想をこんな風に書いていた人がいた。
“この映画をみて自殺するのをやめた友人がいた”
他愛ないレビューだったけど、私はこのエピソードが大好きだ。
あの明るくて能天気な映画ひとつで簡単に変わってしまう人の生き死に。
人はそんな風にとても簡単に、うっかり生きてしまったりうっかり死んでしまったりするものなんだと思った。
女は月に4度性格が変わるという。
それが本当かどうかなんてどっちでもいいけど、
人間それくらいなもンでいいよな~と思う。
今日言ったことが明日はころっと変わってる。
毎日ちっちゃな「雨に唄えば」があるから中々死ねない。
訳も分からず山盛り食べて、訳も分からず腹筋して、当然、吐く。
そしてネコの恐れる敵はいつまでも現れない。